2015年11月18日水曜日

ペマ・ツェテン監督『五色の矢』上映会

今年の東京フィルメックスでペマ・ツェテン監督の新作映画『タルロ』が上映されます (映画祭のページはこちら)。監督の来日にあわせて『五色の矢』上映会を企画いたしました。日本初上映、一日限り、上映後にはペマ監督も質疑応答のために登壇されますので、お誘い合わせのうえ、ぜひお越しください。

◎日時と場所
日時:2015年11月27日 (金) 18:00-20:30 (17:30開場)
場所:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所3階 303号室 (大会議室)
交通案内:http://www.tufs.ac.jp/access/tama.html
  • 申し込み不要、参加無料です。
  • 映画は英語・中国語字幕版による上映です。
◎主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所「言語の動態と多様性プロジェクト」(LingDy2)   担当 星 (hoshi@aa.tufs.ac.jp)

映画『五色の矢』より。中央は主演のリンチェン・トンドゥプ。

2015年10月19日月曜日

ドキュメンタリー映画 "Nowhere To Call Home" 上映会

2015年11月1日 (日) に、東京外国語大学にて、ドキュメンタリー映画『ノーウェア・トゥ・コール・ホーム (我が家は何処)』(ジャスリン・フォード監督)の上映会を行います。監督との交流の場も設けます。みなさまのお越しをお待ちしております。

 本作品が第42回日本賞コンテンツ部門国際交流基金理事長賞を受賞しました!
 詳細はこちら http://www.nhk.or.jp/jp-prize/2015/prize_winner.html

◎日時と場所
日時:2015年11月1日 (日) 16:00-18:30 (15:45開場)
場所:東京外国語大学アゴラ・グローバル3階プロジェクトスペース
アジア・アフリカ言語文化研究所4階 405号室 (変更になりました)
交通案内:http://www.tufs.ac.jp/access/tama.html
  • 申し込み不要、参加無料です。
  • 映画は日本語字幕版による上映です。
◎主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所「言語の動態と多様性プロジェクト」(LingDy2)   担当 星 (hoshi@aa.tufs.ac.jp)



2015年5月9日土曜日

チベット作家の寅さん

チベットの人気作家タクブンジャの邦訳作品集『ハバ犬を育てる話』刊行記念にAkkenさんにマンガを描いていただきました! Akkenさんありがとうございます♪





〔書評〕『ハバ犬を育てる話』


土臭いユーモアの感覚がもたらす文学的香気





滋賀県立大学の棚瀬滋郎先生が当ウェブサイトのために『ハバ犬を育てる話』の書評を書いて下さいました。ありがとうございます。

* * * *

 アムド出身のチベット人作家、タクブンジャの短編小説を収めた作品集である。巻末の訳者解説によれば、タクブンジャは1966年、中国青海省、海南チベット族自治州に生まれた。海南民族師範学校在学中には、チベット現代文学のパイオニアであるトンドゥプジャ (1953~85) が教師の一人として赴任していたという。タクブンジャが小説を書き始めたのも、トンドゥプジャの小説を読んだことがきっかけとなっており、その意味では、トンドゥプジャが開いた、チベット現代文学という土地に開花した才能のひとつといえるのであろう。

 本書に収められた小説のスタイルは、実験的な「一日のまぼろし」から、諧謔と風刺に満ちた「犬」シリーズ、甲斐性のない夫に対する妻の罵りだけで一本の短編をなすという、大胆不敵な試みである「罵り」、僻村の生活をリアルに描く「村長」など実にバラエティに富んでいる。これは当然訳者4人の意図であろうが、これらの作品を読むと、チベットの現代文学が最早チベット口語による文学の創設という段階を超え、作家が様々な文体やスタイルを自由に試す段階に至っているということが実感される。

 大国の中の少数民族という立場に由来する様々な矛盾や軋轢、現代化や漢化の中でいかに自らの文化を守ってゆくのかなど、チベットの人たちは様々な問題に直面している。小説の存在理由のひとつが、必ずしも意識されない、その時代の矛盾や軋轢を作品の中で具象的に描き、対象化してみせることにあるとすれば、タクブンジャもまさに時代が要請したチベット人の作家ということができるであろう。

 勿論、トンドゥプジャの作品もそういうものとして理解することができる。しかしタクブンジャには、トンドゥプジャにはない土臭いユーモアの感覚があり、それが一種の文学的香気をもたらしているようにも感じた。

 この『ハバ犬を育てる話』で、「チベット文学研究会」による現代チベット文学作品の紹介は4冊目となる。チベットの「今」を知るためには格好の作品である、これら小説群を日本語で読むことのできる幸せを噛みしめ、訳者の方々には心からの感謝と、その努力への敬意を払いたい。 (棚瀬慈郎)


『ハバ犬を育てる話 (物語の島 アジア)』
 タクブンジャ著/海老原志穂・大川謙作・星泉・三浦順子訳
 東京外国語大学出版会
 【2015年3月30日発売】
 四六変型判・並製・296頁・定価:本体2400円+税
 ISBN978-4-904575-45-1 C0097



2015年1月18日日曜日

ドキュメンタリー映画『英雄の谷』上映会

2015年2月4日 (水) および 8日 (日) に、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所にて、ドキュメンタリー映画『英雄の谷』(カシャムジャ監督)の上映会を行います。監督との交流の場も設けます。みなさまのお越しをお待ちしております。

◎交通案内:http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/about/access


◎トレイラー
『英雄の谷』 http://www.khamfilmproject.org/trailer-valley-eng
『夏の草原』 http://www.khamfilmproject.org/trailer-summer-eng

◎主催者より
『英雄の谷』は、チベットの言語・文化が失われつつある現状と人々の複雑な思いを赤裸々に映し出すとともに、言語・文化の 再活性化運動に取り組むチベットの大学生たちの真摯な姿を捉えた映画です。こうした運動はチベットのみならず、世界各地の消滅の危機に瀕する少数言語の話 者たちによって様々な形で行われるようになってきています。グローバル化に安易にのみ込まれまいとする現地の人々の静かな抵抗運動と言えるかもしれませ ん。時代と地域の特色に合わせた現地の人々の活動にぜひ目を向けていただきたいと願っています。

◎カシャムジャ監督プロフィール
カシャムジャ / Khashem Gyal / 卡先加
1990年、青海省黄南チベット族自治州同仁県 (レプコン) 生まれの写真家、映画監督。青海民族大学チベット語学部卒業。大学在学中から撮影技術を学びながら、文化保存のプロジェクトに携わる。2009年に西寧で行われたヴァージニア大学チベット・センターの主催する映像トレーニング・プログラムに参加し、映画制作について学び、翌年友人たちと共にアミロロ・フィルムを設立、映画制作を開始する。これまでに3本のドキュメンタリー映画を制作している。高原写真協会会員。同協会のウェブサイトで氏の写真を観ることができる。http://www.plateauphotographers.com/khashem-gyal.html

  • 申し込み不要、参加無料です。
  • 映画は日本語字幕版による上映です。
  • 2月4日は変わりゆくチベットの牧畜民の暮らしを描いたドキュメンタリー映画『夏の草原』の上映も行います。
  • お越しの方には『英雄の谷』を特集した『チベット文学と映画制作の現在 SERNYA』vol. 2を差し上げます。
  • 2月8日は上映&トーク終了後、15:30より、アムド・チベット語言語研修フォローアップミーティングが実施されます。こちらも公開で行われますのでご関心のある方はぜひご参加ください。

◎アムド・チベット語言語研修フォローアップミーティング
  日時 2015年2月8日15:30-19:30
  場所 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 3階
  1. 北原奈央「牧畜民の肉への執着と不殺生―修士論文「東チベットの新しい慣習『ゲワチュ』の実践とパラドックス」の成果から―」
  2. 別所裕介「アムド牧畜研究の最前線」
  3. 星泉「チベット文学聖地巡礼」
  4. 海老原志穂「チベットの東と西の方言比較」
  5. 三浦順子「『王統明示鏡』をめぐる旅」
  6. チュイデンブン「チベット語とチベット文化の世界への影響」
  7. 中原美和「アムドの民謡」