2017年3月23日木曜日

チベット映画傑作選@大阪第七藝術劇場

『草原の河』公開記念 〜ソンタルジャとの出会い〜

©GARUDA FILM
この春、チベット人監督作として初めて日本で劇場公開されるソンタルジャ監督の『草原の河』。その公開を記念して、チベット映画の秀作を大阪・第七藝術劇場にて上映します。監督のデビュー作『陽に灼けた道』をはじめ、チベット人監督の第一人者であり、ソンタルジャ監督より一足先に国際舞台で活躍しているペマ・ツェテン監督の『ティメー・クンデンを探して』を上映するほか、新進気鋭のカシャムジャ監督によるドキュメンタリー『英雄の谷』、そして「チベット牧畜民の仕事展」で好評を博したドキュメンタリー『チベット牧畜民の一日』も上映。昨年日本で公開されて大好評だったチャン・ヤン監督による『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』も上映します。
チベット文化を深く知ることのできる作品の数々、ぜひこの機会にご鑑賞ください。


プログラム
2017年5月6日(土) 12:00-13:29
『陽に灼けた道』(監督:ソンタルジャ)
上映後トークショー 星泉 (東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)×武井みゆき(ムヴィオラ)

5月7日(日) 12:00-13:35
『チベット牧畜民の一日』(撮影:カシャムジャ)
上映後トークショー 星泉 (東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)×武井みゆき(ムヴィオラ)

5月8日(月) 12:00-13:20
『英雄の谷』(撮影:カシャムジャ)+『草原』(監督:ペマ・ツェテン)

5月9日(火) 12:00-13:52
『ティメー・クンデンを探して(監督:ペマ・ツェテン 撮影:ソンタルジャ)

5月10日(水) 12:00-13:42
『静かなるマニ石(監督:ペマ・ツェテン)

5月11日(木) 12:00-13:52
『ティメー・クンデンを探して(監督:ペマ・ツェテン 撮影:ソンタルジャ)

5月12日(金) 12:00-13:58
『ラサへの歩き方〜祈りの2400km(監督:チャン・ヤン)

会場:第七藝術劇場(大阪市淀川区十三本町1-7-27サンポードシティ6F)
料金:当日のみ一般・学生1,500円 中・高1,000円 シニア1,100円 

定員:96名

主催:ムヴィオラ、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、第七藝術劇場
協力:Director Sonthar Gyal|Director Pema Tseden|Director Kashem Gyal|福岡市総合図書館   


『草原の河』
チベット。牧畜を営む家族。幼い娘は、母が新しい命を授かったと知り、母を取られてしまうと心を痛める。その父は、ある出来事をきっかけに自分の父親を今も許せないでいる。娘、その父、そして祖父。峻烈な映像で家族三代の想いを描くソンタルジャ監督の感動作。
配給:ムヴィオラ 
4月29日(土・祝)より岩波ホールほかにてロードショー


上映作品紹介

5月6日(土)
陽に灼けた道
The Sun Beaten Path|2010年|中国|チベット語|89分|日本語字幕付き
監督:ソンタルジャ
出演:イシェ・ルンドゥプ、ルジェ、カルザン・リンチェン
ソンタルジャ監督デビュー作。母親の死に対して強い自責の念にとらわれ、心を閉ざしたニマは、深い苦しみを抱えてラサへの巡礼の旅に出る。しかしその巡礼行が彼の心を癒やすことはなかった。失意のままバスで故郷に戻るニマが道中で出会ったのが、家族の問題でやるせない思いを抱えたまま旅を続ける老人だった。老人はニマのことが気がかりでたまらず、バスを降りて共に旅を続ける。老人の温かい語りかけに、ニマは少しずつ心をひらいていく。そのうち老人自身が抱えている問題も明らかにされ、二人は交流するうちに希望の光を取り戻していく。2011年バンクーバー国際映画祭ドラゴン&タイガー賞。



5月7日(日)
チベット牧畜民の一日

A Day in the Life of Tibetan Pastoralists|2017年|日本|チベット語|95分|ドキュメンタリー|日本語字幕付き
撮影・編集:カシャムジャ
企画・制作:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所「チベット牧畜民の一日」制作チーム
出演:R家のみなさん、K家のみなさん
電気もガスも水道もない標高3,400mの高地。そこでは人間のもっているありとあらゆる能力を使わないと暮らしていけない。家畜の世話はもちろん、食料や燃料の調達、水汲み、洗濯、放牧、住まいに至るまで、自らの手と足を動かし、生きていくための環境を整える。そんな彼らの日々の暮らしを支えているのは、仏への祈り、山の神への祈りだ。乳しぼりや水汲み、放牧をしながらも祈りの言葉を唱え、生きとし生けるすべてのものの幸せを祈り続けている。そんなチベットの牧畜民の姿を収録した貴重な映像。





5月8日(月)
英雄の谷
Valley of the Heroes|2013年|中国|チベット語・漢語|53分|ドキュメンタリー|日本語字幕付き
監督:カシャムジャ
制作:Amololo Film 協力:Kham Film Project
チベット語で英雄の谷(ホワロン)と名付けられた土地、東北チベットの化隆では、かつてはチベット文化が栄え、多くの大学者が輩出された。しかし、現在ではムスリムが最大民族となり、学校教育もチベット語ではなく漢語で行われている。『英雄の谷』は、この地においてチベットの言語と文化が急速に衰退していく様を、学生たちの行う教育ボランティア活動を軸として描き出している。ムスリム化したチベット人の生活とモスクでの礼拝の姿、漢語でやり取りしながら遊ぶチベットの子供たち、賭事に興じる男たちの漢語・チベット語が入り混じった会話、ターラーの真言さえも唱えられなくなり目に涙する老婆、それらの映像の連なりを通して、自民族の言語・文化を失う痛みや、その痛みすらも感じなくなった人びとの姿が映し出される。





草原 
The Grassland|2004年|中国|チベット語|22分|ドキュメンタリー|日本語・漢語字幕付き
監督:ペマ・ツェテン
出演:アマ・ラド、アナム、ドルマキャプ

一人暮らしのツォモばあさんは、村長から生活保護のために借り受けたヤクを放生のため山に放してしまう。しかしそのヤクが盗まれ、問題となる。村長は昨年放生羊を盗んだ隣の草原の若者たちの犯行を疑い、おばあさんを連れて隣の草原の村長に訴えに行く。隣村の村長は若者たちを呼び出し、山神の前で誓いを立てさせるが、若者たちは無実、真犯人は隣村の村長の息子だった。村長は息子に謝罪させようとヤクを引いておばあさんのもとに連れて行く。
北京電影学院の卒業制作として制作されたペマ・ツェテン初監督作品。後の長編で繰り返し用いられるモチーフの原型が凝縮されている佳品。北京電影学院第3回学生映画祭にてショートフィルム最優秀作品賞、第34回ロッテルダム国際映画祭にてショートフィルム賞を受賞。



5月9日(火)・11日(木)
ティメー・クンデンを探して
The Search|2008年|中国、フランス|チベット語|112分|劇映画|日本語・英語字幕付き
監督:ペマ・ツェテン 撮影:ソンタルジャ
出演:メンラキャプ、ツォンディ、ルモツォ
一台の車がチベット高原をひた走っていく。車に乗っているのは映画監督、カメラマン、ドライバー、そして皆から社長と呼ばれる男。一行は、チベット歌劇『ティメー・クンデン王子の物語』をモチーフにした次回作の役者探しの旅の途上にあった。社長の案内のもと、村々や寺を回る一行の目の前で、歌劇『ティメー・クンデン』の名場面の数々が、そしてそれに関わる人々のエピソードが披露されていく。監督は果たして自らが思い描く主役に巡り合うことができるのか? 2009年上海国際映画祭で審査員特別賞、同年ロカルノ国際映画祭公式招待。
小説版ペマ・ツェテン著『チベット文学の現在 ティメー・クンデンを探して』 (勉誠出版、2013年)も併せてお読みください。


5月10日(水)
静かなるマニ石 
The Silent Holy Stones|2005年|中国|チベット語|102分|劇映画|日本語・英語 字幕付き
監督:ペマ・ツェテン
出演:ロブザン・テンペル、トゥルク・ジャホンツァン
電気がようやく通ったばかりのチベット・アムド地方の山村の冬。寺でも村でも正月を迎える準備で忙しい。親元を離れて寺で修行している10歳の少年僧は先生のもとで勉強に励むいっぽうで、寺では年下の化身ラマの居室にしかないテレビに興味津々。大晦日、迎えに来た父に連れられて3日 間の正月休みに実家に帰ると、家に届いて間もないテレビとビデオに大喜び。正月の伝統行事である村芝居の歌舞劇「ティメー・クンデン」もそっちのけで西遊 記のビデオに夢中になる。少年僧は西遊記を先生たちに見せたいと思って家族に頼み込み、テレビとビデオデッキを父の引く馬に載せて寺に戻る。 ペマ・ツェテン監督初の長編映画。
第24回バンクーバー国際映画祭ドラゴン&タイガー賞および審査員特別賞、第10回釜山国際映画祭ニューカレント特別賞、第25回中国映画金鶏賞最優秀監督処女作品賞ほか多数。

 


5月12日(金)
ラサへの歩き方〜祈りの2400km
Paths of the Soul|2015年|中国|チベット語|118分|劇映画|日本語字幕付き
監督:チャン・ヤン 撮影:グオ・ダーミン
出演:チベット巡礼の旅をする11人の村人たち

チベット、カム地方マルカム県プラ村。ニマの家では、父親が亡くなり、まだ四十九日が明けず、法事が行われていた。父の弟のヤンペルは、兄のように思い残すことなく自分は死ぬ前に聖地ラサ行きたいと願っていた。ニマは叔父の願いを叶え、叔父を連れ、ラサへ巡礼に行く決意をする。彼らの巡礼のことを知ると、次々と同行を願う村人が集まり、老人、妊婦、そして幼い少女タツォを含め一行は総勢11人になった。村から五体投地で1200km離れた聖地ラサへ、さらにそこから1200kmあるカイラス山への巡礼の旅がはじまる。
公式サイト: www.moviola.jp/lhasa


0 件のコメント:

コメントを投稿