2016年6月12日日曜日

『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』公開記念<チベット映画傑作選>

本イベントは終了しました。
ご来場くださったみなさまに御礼申し上げます。

チベット巡礼ロードムービー『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』の公開を記念して、チベット映画の秀作2本を上映します。

どちらもなかなか見られないとても貴重な作品で、現代チベット映画を代表する映画監督の代表作、しかも『ラサへの歩き方』につながる「巡礼」が重要なモチーフとなっています。

ペマ・ツェテン監督の『静かなるマニ石』、そしてソンタルジャ監督の『陽に灼けた道』。ソンタルジャ監督は、ペマ・ツェテン作品の撮影監督を長らく務めていたという繋がりもあります。

両日とも上映後にはチベット映画に詳しい東京外国語大学の星泉による解説付きです。

東京フィルメックスや東京国際映画祭でも大好評を博している2人のチベット人監督の貴重な作品、チベット映画初体験の方もぜひご来場ください。

主催:ムヴィオラ、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
協力:福岡市総合図書館

上映日程:
7/7(木) 19:00開映- *上映後トーク付き終演21:20予定
静かなるマニ石 2005年|102分|英語題:The Silent Holy Stones
日本語・英語字幕付き

監督・脚本:ペマ・ツェテン 撮影:杜傑 撮影助手:ソンタルジャ 録音:李哲 挿入歌:ドゥッカル・ツェラン 出演:ロブザン・テンペル(少年僧)、チョクセ(少年僧の先生)、トゥルク・ジャホンツァン(化身ラマ)




最新作『タルロ』が2015年東京フィルメックスでグランプリと学生審査員賞をダブル受賞したペマ・ツェテンの記念すべき長編第一作。チベットの山村の素朴な暮らしと主人公の少年僧をめぐる人々を描きながら、チベット人が日々何を大切にして生きているのか、新しい時代の到来の中で伝統とどう向き合っているのかが丁寧に描かれる。名匠アッバス・キアロスタミ監督が「私はこの映画に心から感動を覚えた」と絶賛した。“マニ石”とはお経や真言が刻まれた石のこと。

7/14(木) 19:00開映- *上映後トーク付き終演21:20予定
陽に灼けた道 2011年|89分|英語題:The Sun Beaten Path
日本語字幕付き
監督・脚本・製作:ソンタルジャ 撮影:王猛 芸術指導:ペマ・ツェテン
出演:イシェ・ルンドゥプ (ニマ)、ロチ (老人)、カルザン・リンチェン (兄)


昨年の東京国際映画祭で上映された『河』が話題となったソンタルジャの監督デビュー作。自分が運転していたトラクターで過って母親をはねてしまい、母の死に対して強い自責の念にとらわれたニマは、ラサまで五体投地の巡礼の旅に出る。しかし、巡礼でも心は癒されず、その帰り道でひとりの老人と出会う。バンクーバー国際映画祭でアジア部門の新人監督作品に贈られる「ドラゴン&タイガー賞」を受賞するなど国際的に高く評価された。

会場:アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
新宿区市谷船河原町15
http://www.institutfrancais.jp/tokyo/about/contact/

本上映会のお問合せ=ムヴィオラ 03-5366-1545 info[at]moviola.jp



前売券入手方法
7/7(木)19:00『静かなるマニ石』監督:ペマ・ツェテン 
7/14(木)19:00『陽に灼けた道』監督:ソンタルジャ
会場:アンスティチュ・フランセ東京
入場料:前売&電話・メール予約 1,300円(当日1,600円の処)

前売券のお求めは⇒シアター・イメージフォーラム(渋谷)、チベットレストラン&カフェ タシデレ(曙橋)
電話予約は⇒ムヴィオラ 03-5366-1545
メール予約は⇒info-lingdy[at]aacore.net (東京外国語大学チベット映画上映会受付)
(1) お名前 (2) 来場日と枚数 (3)緊急時のご連絡先(携帯番号など)を明記し、上記アドレスにご連絡ください。折り返し受付番号をお知らせします。なお、メールの件名は「チベット映画申込」としてください。満席になり次第、受付終了いたします。
※メールアドレスの[at]は@に変えて送信してください。

2016年2月3日水曜日

シンポジウムご来場御礼とSERNYAの配布について

1月30-31日と2日間にわたって開催した国際シンポジウム「チベット文学と映画制作の現在」にはたくさんの方にお越しいただき,まことにありがとうございました。

チベット人ゲストのジャンブ氏,ジャバ氏,ラシャムジャ氏は無事帰国されました。チベット人と日本人とで協力して,こうしたシンポジウムが開催できたことをたいへん喜んでおられました。チベット文学と映画に関するシンポジウムが日本で開催されたのは今回が初めてのことでしたが,翻訳を何冊か出し,雑誌SERNYAも3巻目を刊行することができたところでの開催は,なかなかタイミングが良かったのではないかと自負しております。

まだまだはじまりに過ぎませんので,これからもチベットの文学や映画を通じてチベットのいまを伝えていければと思います。応援よろしくお願いいたします。

さて,シンポジウムの際に配布してご好評いただいた雑誌SERNYAですが,ご希望の方にはお送りできる体制を整える予定です。2月下旬にあらためて告知いたしますので,このウェブサイトをチェックしていただければと思います。

今後もチベットの文学と映画にご注目ください!

2016年2月2日
チベット文学研究会一同

2016年1月11日月曜日

シンポジウム「チベット文学と映画制作の現在」

1月最後の週末、チベットの著名な文学者として、小説家であるジャバ氏、ラシャムジャ氏、詩人・小説家・映画監督であるジャンブ氏(映画監督としてはドルジェ・ツェリン氏)をゲストに招き、シンポジウム「チベット文学と映画制作の現在」を実施します。土曜日は小説、日曜日は詩と映画について語らいます。日曜日はドルジェ・ツェリン氏による映画『冬虫夏草』の上映もあります。

一般向けのイベントですので、どうぞお気軽に、お誘い合わせのうえお越しください。

◎日時
 2016年1月30日 (土) 13:00-18:30 (12:30開場)
 2016年1月31日 (日) 13:00-17:00 (12:30開場)

◎場所
 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所3階 304号室
 交通案内:http://www.tufs.ac.jp/access/tama.html
  • 申し込み不要、参加無料です。
  • 使用言語はチベット語・日本語(日本語通訳つき)。
  • 映画『冬虫夏草』は英語字幕による上映です。
◎主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所「言語の動態と多様性プロジェクト」(LingDy2)   担当 星 (hoshi[at]aa.tufs.ac.jp)
 協力:チベット文学研究会

2015年11月18日水曜日

ペマ・ツェテン監督『五色の矢』上映会

今年の東京フィルメックスでペマ・ツェテン監督の新作映画『タルロ』が上映されます (映画祭のページはこちら)。監督の来日にあわせて『五色の矢』上映会を企画いたしました。日本初上映、一日限り、上映後にはペマ監督も質疑応答のために登壇されますので、お誘い合わせのうえ、ぜひお越しください。

◎日時と場所
日時:2015年11月27日 (金) 18:00-20:30 (17:30開場)
場所:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所3階 303号室 (大会議室)
交通案内:http://www.tufs.ac.jp/access/tama.html
  • 申し込み不要、参加無料です。
  • 映画は英語・中国語字幕版による上映です。
◎主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所「言語の動態と多様性プロジェクト」(LingDy2)   担当 星 (hoshi@aa.tufs.ac.jp)

映画『五色の矢』より。中央は主演のリンチェン・トンドゥプ。

2015年10月19日月曜日

ドキュメンタリー映画 "Nowhere To Call Home" 上映会

2015年11月1日 (日) に、東京外国語大学にて、ドキュメンタリー映画『ノーウェア・トゥ・コール・ホーム (我が家は何処)』(ジャスリン・フォード監督)の上映会を行います。監督との交流の場も設けます。みなさまのお越しをお待ちしております。

 本作品が第42回日本賞コンテンツ部門国際交流基金理事長賞を受賞しました!
 詳細はこちら http://www.nhk.or.jp/jp-prize/2015/prize_winner.html

◎日時と場所
日時:2015年11月1日 (日) 16:00-18:30 (15:45開場)
場所:東京外国語大学アゴラ・グローバル3階プロジェクトスペース
アジア・アフリカ言語文化研究所4階 405号室 (変更になりました)
交通案内:http://www.tufs.ac.jp/access/tama.html
  • 申し込み不要、参加無料です。
  • 映画は日本語字幕版による上映です。
◎主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所「言語の動態と多様性プロジェクト」(LingDy2)   担当 星 (hoshi@aa.tufs.ac.jp)



2015年5月9日土曜日

チベット作家の寅さん

チベットの人気作家タクブンジャの邦訳作品集『ハバ犬を育てる話』刊行記念にAkkenさんにマンガを描いていただきました! Akkenさんありがとうございます♪





〔書評〕『ハバ犬を育てる話』


土臭いユーモアの感覚がもたらす文学的香気





滋賀県立大学の棚瀬滋郎先生が当ウェブサイトのために『ハバ犬を育てる話』の書評を書いて下さいました。ありがとうございます。

* * * *

 アムド出身のチベット人作家、タクブンジャの短編小説を収めた作品集である。巻末の訳者解説によれば、タクブンジャは1966年、中国青海省、海南チベット族自治州に生まれた。海南民族師範学校在学中には、チベット現代文学のパイオニアであるトンドゥプジャ (1953~85) が教師の一人として赴任していたという。タクブンジャが小説を書き始めたのも、トンドゥプジャの小説を読んだことがきっかけとなっており、その意味では、トンドゥプジャが開いた、チベット現代文学という土地に開花した才能のひとつといえるのであろう。

 本書に収められた小説のスタイルは、実験的な「一日のまぼろし」から、諧謔と風刺に満ちた「犬」シリーズ、甲斐性のない夫に対する妻の罵りだけで一本の短編をなすという、大胆不敵な試みである「罵り」、僻村の生活をリアルに描く「村長」など実にバラエティに富んでいる。これは当然訳者4人の意図であろうが、これらの作品を読むと、チベットの現代文学が最早チベット口語による文学の創設という段階を超え、作家が様々な文体やスタイルを自由に試す段階に至っているということが実感される。

 大国の中の少数民族という立場に由来する様々な矛盾や軋轢、現代化や漢化の中でいかに自らの文化を守ってゆくのかなど、チベットの人たちは様々な問題に直面している。小説の存在理由のひとつが、必ずしも意識されない、その時代の矛盾や軋轢を作品の中で具象的に描き、対象化してみせることにあるとすれば、タクブンジャもまさに時代が要請したチベット人の作家ということができるであろう。

 勿論、トンドゥプジャの作品もそういうものとして理解することができる。しかしタクブンジャには、トンドゥプジャにはない土臭いユーモアの感覚があり、それが一種の文学的香気をもたらしているようにも感じた。

 この『ハバ犬を育てる話』で、「チベット文学研究会」による現代チベット文学作品の紹介は4冊目となる。チベットの「今」を知るためには格好の作品である、これら小説群を日本語で読むことのできる幸せを噛みしめ、訳者の方々には心からの感謝と、その努力への敬意を払いたい。 (棚瀬慈郎)


『ハバ犬を育てる話 (物語の島 アジア)』
 タクブンジャ著/海老原志穂・大川謙作・星泉・三浦順子訳
 東京外国語大学出版会
 【2015年3月30日発売】
 四六変型判・並製・296頁・定価:本体2400円+税
 ISBN978-4-904575-45-1 C0097